古典②説話を読む(今昔物語集・宇治拾遺物語・十訓抄など)
説話とは(仏教説話・世俗説話・教訓)・今昔物語集・宇治拾遺物語・十訓抄・古今著聞集・沙石集・話の流れ(いつ・どこ・だれ・結末)・主語の補い方(て/を・に・ば・ど・敬語)・会話文と心の中のことば(と言ふ・とて・と思ふ)・説話の古語(おどろく・いらふ・わびし・あさまし・心もとなし・ゆかし・おぼえ)・係り結び・結びの省略(とぞ・にや)・教訓と評・現代語訳とのくらべ方・掛詞・児のそら寝・絵仏師良秀・大江山・仁和寺にある法師・鬼に瘤取らるる事
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この教材でできるようになること
- 説話 とは何かと、説話集(今昔物語集・宇治拾遺物語・十訓抄・沙石集・古今著聞集)の時代・特徴が分かる
- 話の 流れ(いつ・どこ・だれ・何が起きた・結末)をつかめる
- 書かれていない 主語 を補い、会話文・心の中のことば のはんいを見分けられる
- 説話によく出る 古語 と、係り結び(ぞ・なむ・や・か・こそ)が分かる
- 結びの 教訓・評 を読み取り、現代語訳 とくらべて内容を説明できる
レッスンの内容
レッスン1 説話と説話集・話の流れ
仏教説話と世俗説話/今昔・宇治拾遺・十訓抄・古今著聞集・沙石集/いつ・どこ・だれ
めやす16分
レッスン2 主語と会話文
「て」は同じ人・「を・に・ば・ど」でかわる/と言ふ・とて・と思ふ
めやす18分
レッスン3 古語と係り結び
おどろく・いらふ・あさまし/ぞ・なむ・や・か→連体形、こそ→已然形
めやす18分
レッスン4 結びの教訓・評と現代語訳
となむ語り伝へたるとや・とぞ・にや/訳でおぎなうことば・掛詞
めやす16分
例題を1問やってみよう
説明用:『宇治拾遺物語』「児のそら寝」(前半)
これも今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心寄せに聞きけり。さりとて、し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて、片方に寄りて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき合ひたり。
『宇治拾遺物語』「児のそら寝」。古典の本文は、著作権の保護期間が終わったものを、学校の教科書で一般的な形で引いています。現代語訳・注は、この教材のために書いたものです。
現代語訳:これも今となっては昔のことだが、比叡山(の延暦寺)に、ひとりの児がいた。僧たちが、日がくれてまもないころの退屈なときに、「さあ、ぼたもちを作ろう。」と言ったのを、この児は、楽しみにして聞いていた。そうかといって、できあがるのを待って寝ないでいるのも、よくないだろうと思って、(児は)部屋のすみに寄って、寝ているふりをして、できあがるのを待っていたところ、(僧たちは)もうできあがったようすで、がやがやとさわいでいる。〔注〕これも今は昔=『宇治拾遺物語』では、前の話に続けて「これも(今となっては昔のことだが)」と書き出す話が多い。児=寺にあずけられて、学問や行儀を習っていた子ども。かいもちひ=ぼたもち(おはぎ)のような食べ物。
「児のそら寝」(前半)を読んで、話の流れと説話集について答えよう。
①話の中心になる人物(だれ)は?
- アこの話の書き手
- イ比叡の山にいた児
- ウ比叡の山でいちばんえらい僧
②話の場所(どこ)は?
- ア比叡の山(のお寺)
- イ児の生まれた家
- ウ京の都の大通り
③この話がのっている『宇治拾遺物語』は、いつごろの説話集?
- ア江戸時代のはじめごろ
- イ平安時代のはじめごろ
- ウ鎌倉時代のはじめごろ
答えと解き方を見る
答え ① イ 比叡の山にいた児 ② ア 比叡の山(のお寺) ③ ウ 鎌倉時代のはじめごろ
考え方 ①「比叡の山に児ありけり」と紹介され、そのあと児の行動が続く。②「比叡の山に」の「に」は場所。③『宇治拾遺物語』は鎌倉時代のはじめごろの説話集。
- ①「〜ありけり」で紹介される人物
- ②場所を表す「〜に」
- ③説話集の表
よくあるまちがい
お寺やお坊さんが出てくるかどうかで、仏教説話と決めてしまう→話が 何を伝えているか で考える。
「〜て」でつながっているのに、とちゅうで主語をかえてしまう。
「〜と思ひて」の中身(心の中のことば)を、声に出したことばと取りちがえる。
文の終わりにある「〜か。」「〜ぞ。」は、係り結びの結びをさがさなくてよい(問いかけ・強めの言い方)。
「あさまし」を「浅い」、「年ごろ」を「年齢」と読んでしまう。
「〜ぬ」(〜てしまった)と「〜ず」(〜ない)を取りちがえる。
話の中の人物のことばを、書き手の評と取りちがえる。
訳で( )におぎなわれたことばが、原文にもあると思ってしまう。
教材のつくり
説明と例題 → 手助けつき(3段階のヒント)→ 自力 → 確認テスト → 数日あとにもう一度、の順で身につけます。まちがえたときは「どこでつまずいたか」を聞き返します。
| 段階 | 問題数 |
|---|---|
| 手助けつき練習 | 7問 |
| 自力の練習 | 9問 |
| 応用 | 5問 |
| 確認テストA | 6問 |
| 確認テストB | 6問 |
| 後日の確認 | 6問 |
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出典・この教材の範囲
あつかうこと:説話とは・五つの説話集・話の流れ・主語の補い方・会話文と心の中のことば・説話によく出る古語・係り結びと結びの省略・教訓と評・現代語訳とのくらべ方・掛詞。あつかわないこと:助動詞の意味と活用の全体・敬語の種類の細かい区別・係り結びの流れ(消滅)・漢文。古典の本文は、著作権の保護期間が終わった作品を、学校の教科書で一般的な形で引いています(写本によって少しちがう形があります)。「絵仏師良秀」は、一部を省いて(中略)のせています(省いた部分のあらすじは注に書いています)。「大江山」は、話のあとに続く書き手の評の一文を省いています。『徒然草』は随筆ですが、説話と同じ形の段として読みます。現代語訳・注・問題・解説は、この教材のために書いたものです。